中学校時代からブラックジャックファンである。
何度読んでも感銘を受けるコミックはなかなかない。
一応タグはブックレビューとなっているが、今回の注目点は内容とは若干違う。
「マンガと小説の違い」に関して感じたことを少々。
この作品の中にはピノコと呼ばれる助手(?)が出てくるが、
とある理由によりブラックジャックによってその体を「構築」され、この世に生を受ける。
ブラックジャックがピノコの顔を作る際、参考にした少女がいた。
彼女は医学書の写真で見つけたという。
ひょんな理由からその少女とブラックジャックは遭遇し、一つのきずなが生まれる。
がしかし、公害により彼女は帰らぬ人となったのであった。
普段物静かで冷徹なブラックジャックの顔には、押し殺せぬ怒りが現われていた。
そのたった一コマ。
言葉にならぬ渦巻いた感情が読者を包むのである。
この「言葉にならぬ」ことを表現できるというのがマンガと小説との違いである。
小説は昔のカセットテープに似ている。
カセットテープには磁気テープに音楽情報が刻まれており、
そのテープを自動で「送る」ことによってスピーカーから「音」として耳に入る。
これが停止してしまうと音にはならないわけだ。
小説には「言葉」のテープが紡がれており、その言葉は流れていないとストーリーにはならない。
そういった意味で「無言」という表現方法がないのである。
「無言を表現する」ことと「無言で表現する」ことの差がコミックと小説の差の一つである。
ブラックジャックはたくさんの短編からなるが、
その多くは問題を投げかける形で話を括る。
きっと手塚自身も答えを持ち合わせておらず、それ自身が答えなのだろう。
その「言葉にならぬ答え」を必死に描いた作品。
それが「ブラックジャック」である。
一読あれ。
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