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祖父が他界した。
享年93歳。
2度の戦争出兵経験。
老衰であった。

満州への出兵において、祖父は理不尽な軍国主義の被害者であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その昔、祖父がまだ若かったころ。
満州という場所があったころ。

慣れない銃を抱え、祖父達とその中隊長は
大隊長から厳命を受けた。

「敵ヲ殲滅セヨ。状況ガ不利デアッテモ、オ国ノタメニ命ヲ捧ゲヨ。」

状況は圧倒的に不利であり、誰もが自分達の壊滅を覚悟せねばならなかった。
倒れ行く仲間。
夜襲。
泥水をすすりながら、地面に這い蹲りながら、
弾に当たらぬよう、じっとこらえる。

精神的にも状況的にも追い詰められた祖父達。
とうとう中隊長は決断した。

「みんな、今持っている弾を全部撃ちつくせ。本陣に帰ろう。」

命を捧げろと厳命を受けた祖父達は、一筋の希望をそこに見たのだった。

帰りの道中とて戦場である。
本陣に命からがらたどり着いたとき、
失った戦友の数多さに改めて愕然としていた。

だが大隊長は鬼だった。

「なにぃ?敵前逃亡だと?」
大隊長の目がギラリと光る。

「中隊長以下、全員銃殺ー!!」

この時の祖父達の絶望感は筆舌に尽くしがたい。

しかしその数日後、日本は降伏宣言。

祖父達はその命をつないだが、中隊長だけは帰ってこなかったそうだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私が記憶する祖父は、いつも笑顔を絶やさず、ユーモアを忘れない人物であった。
やさしすぎるがゆえに人に騙されることもあった。
苦悩も多かったようだ。

そんな祖父が残した言葉を、私はまだ覚えている。

「幸せってのは自分で決めるもんだ。
幸せが逃げたら、そりゃ心は痛むだろうさ。
でも手足をもがれたってわけじゃない。
実は、痛くもなんとも無いのさ。」

20年以上前に死別した祖母と再会した祖父。
いったい何を語るのであろうか。

きっと二人で新しい幸せを見つける旅に出たに違いない。
祖父の幸せを決めるのは、きっとまた祖父なんだろう。
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永久欠番
北海道の歌姫、中島みゆきさん
http://www.uta-net.com/user/phplib/Link.php?ID=54883
http://www.youtube.com/watch?v=720iyPtOQRc
shotoku 2009/03/12(Thu)  22:23 編集
無題
>shotokuさん

ありがとうございます。
永久欠番、なんかいい歌ですねぇ。
中島みゆきさんは「家なき子」あたりから
好きな歌手の一人だったのですが、
これは初めて聞く曲でした。
一生懸命かみ締めようと思います。
電電 2009/03/14(Sat)  21:31 編集
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