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反「道徳」教育論 (PHP新書)

反「道徳」教育論
山口意友著

平等偏愛にメスを入れる一冊。

学芸会で桃太郎が数十人出てくる喜劇。
運動会の徒競争でみんな1位の喜劇。
学期末の通知簿でオール5の喜劇。

みんな仲良し。命は地球より重い。
みんな助け合って譲り合って、みんな一緒。

学校や家庭でそう教えるも、現実との乖離は否めない。
そこを鋭く追及する。

格差社会や夫婦別姓、死刑制度や死生観など
デリケートな問題をテーマにしているだけに
そのズバリ批判はなかなか爽快な部分が多い。

リアリスト、というのもまた違う。
著者自身は法律でも憲法でもない部分に「美学」を求める。
どんなものが美学なのか、ということではない。
自分なりの美学を研ぎ澄ましているのか、ということが重要なのだと言う。

武士の美学、騎士の美学、若者の美学、女の美学、政治家の美学、技術者の美学。
人間の個性は知識や容姿よりも、この「美学」にこそ現れるのだと。

おおお、言うねぇ(笑)
なかなか好きだよ、そういう考え方。

日本において、かなり多くの行動や思想は「自由」が与えられている。
思想の自由、言論の自由、就職の自由などなど。
そんな中で著者が問題視しているのは

「他人に迷惑をかけなきゃ何したってどうなろうと関係ないし、自分の自由じゃん。」

という「美しくない」セリフをしゃあしゃあと言う輩なのだそうだ。

コンビニの前に座り込んで煙草を吹かす人。
「見せパン」と称しパンツ丸出しで歩く高校生。
朝のラッシュに電車内で平気でアダルト雑誌を読む奴。

わざわざ法律で裁くまでもないが何かと迷惑な人々。
でも実害を被ったかというとそうでもない。
そういう人々にこそ「己の美学」という概念が必要なのだと説く。


また「平等」という言葉の「都合のよい捉えかた」にも言及している。
何がどのように平等なのかを考えず、
都合のよいときに「平等じゃない!不公平だ!」と唱えることが問題であるとする。
実はこれに関しては、かの有名な福沢諭吉が答えを出している。

天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずと言えり。

非常に有名な言葉であるが、文脈を知らなければただの平等主義である。
そのあとの文章が非常に大事なのだ。

なのに貧富の差もあれば身分の差もあり、
まさにそれらは雲泥の差である。
なぜかと問えば答えは明白。
賢人と愚人の差は「智」のあるなしによって決まるからだ。
そしてその差は「学ぶか学ばないか」によって決定されるのだ。(電電意訳)

だからこそ福沢諭吉はこの本のタイトルを

「学問のすすめ」

としたのである!
スッキリー!
平等というのはあらゆる自由が許されたり、
税金額がいっしょだったりとか、
生まれが違うとか、
そういったチャチなことではないと仰っているのだ。

リアリストながら堅実ですねぇ。さすがは一万円!

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