「あいつはモノの考え方がおかしい」
という見解はそもそも成り立たない。
なぜなら「見解の相違」で満足する人間などほとんどいないからだ。
ホームレスに施しをするかどうか。
人工中絶を許容的に支持するかどうか。
鳩山政権を支持するかどうか。
エクソシストをどう評価するか。
パソコンを数か月に一度買い換える電電は浪費家なのか(笑)
いかにも見解の相違とやらが現れそうな議題をあげてみた。
一つ一つに関してここで私の見解を述べることはしない。
人によって意見がさまざま出るであろうことが予想できればここではよしである。
重要なことは「人によって意見が違う」という事実を受け止めることではない。
その人の意見がどのパラダイム(視点)に基づいて、どのような解答方程式が構築されているか、である。
人が持つデータとその分散具合が各々違う以上、
各人が持つ解答を導くための方程式が変わるのは至極当然である。
そこまで知っていながらまだ理解できない人はいる。
「あいつは俺が持っているデータを持ってないからそんなくだらない見解になるのだ」と。
では自分は「あいつ」がもつデータを持っているかといえば、持ってはいない。
単に自分と比較して欠落部分を抽出したにすぎない。
これは依然ブログでも出したネタではあるが再度掲載する。
この「自分が知っていることは相手が知ってて当たり前」的な思考回路は
幼少期の人間がもつ特徴の一つであり、
自分が相手より判断データが多いことで優越感を持つことは「頭が幼い」ことに他ならない。
数年前からの情報化社会の波によってその傾向が顕著になったように感じる。
情報は鮮度が命。
情報は正確さが命。
情報はバリエーションが命。
確かにそうだろう。
がしかし、自分が満足するほどそれらの情報を得ることは難しい。
しかも人間はお互いの持つ情報の並列化さえ満足に行うことが出来ない。
最も意識すべきことは、個人が持つ解答方程式がどのような意味を持つか考察することである。
ここで具体例をあげよう。
ライオンの数はどう増えるのか。
食物連鎖の見地から小学生でも知っている内容ではあるが、
ひと昔前の生物学者、動物学者たちは真剣に悩んでいた。
一人の学者は、一匹のライオンが生む頭数を考えた。
一人の学者は、全体数が年ごとにどう変化するかを考えた。
一人の学者は、ライオンが死ぬ原因を考えた。
結果として、「ライオンはそのうち絶滅する」「ライオンが世界を支配する」
などといったまちまちな意見ばかりが生まれてしまう。
がしかし、その意見の一つ一つはある意味ちゃんと筋が通っていることに注意だ。
全体数の推移を調べた学者は、少しずつ減っていく傾向に目をとめ
このまま減っていけば何年後に絶滅するかを予測した。
ライオンが食物連鎖のトップであることを知った学者は、
ほかの動物を食べつくせば世界の頂点に立つと予測した。
実際には増えたり減ったりを繰り返しながら、平均的な数はあまりかわらない。
もちろん絶滅危惧種であればその平均的な数字が減少傾向にある。
どんどん増えると考えた学者は年と頭数が比例するという単純な解答方程式を作った。
絶滅すると唱えた学者も同様。
実際には餌の多さによってある程度の頭数でライオンは頭打ちになるのだ。
結局熾烈な縄張り争いと相まってライオンは減少していく。その繰り返し。
その場その場のデータと自分の見解をマッチングさせてもさほど誤差は出ない。
自分が作ったその解答方程式が過去、未来でも同じようなことが言えるかどうかまで
考察することができなければ、まるで使い物にならないであろう。
そういった意味で、人間が日々アップデートするべきは
新しい情報に加えて、新しい解答方程式なのである。
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北海道にロボットフィールドを作ろうと日々奮闘中。