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フランケンシュタイン・シンドローム
という言葉をご存じだろうか?

フランケンシュタイン博士が人造人間を作る、
という映画は古くから人々に愛されて(?)きた。

が、人間の姿に似せて何かを作るという行為。
特にそれに生命を吹き込むという行為は、
「神は自分に似せて人間を作った」というキリスト教的概念から
タブー視される。
その一連の心理的傾向をフランケンシュタイン・シンドロームと呼ぶのである。

この視点において、人形は二つに大別される。


 シンボリック・ドールと
リアリスティック・ドールである。

前者は愛玩用として特に幼少期の人間に広く普及する。
リカちゃん人形、ジェニーちゃん人形がそれに該当し、
大きな目と細く長い四肢に特徴づけられる。
実際にそのような身体的特徴を持った人間は存在しない。
が、「かわいらしさ」「美しさ」の象徴である大きな目や細長い四肢を
シンボル化(象徴の記号化)することで、
人間とは明らかに違うが人間のかわいらしさを抽出し合成した存在足りえるのである。

そういった意味で、シンボル化された人形と自らを比較して
喜んだり落ち込んだりすることがナンセンス化される、というわけだ。

人間をモデルにしてはいても、明らかに異なるその設計思想により、
人間はシンボリック・ドールに嫉妬することはない。

ではリアリスティック・ドールとはいかなるものか。
映画「フランケンシュタインの花嫁」では、
人造女性が焼身自殺を図るシーンが印象的である。
彼女はフランケンシュタインの顔に触れた際、
その感触が「自分の顔にふれた際の感触」と同じであることに気づき、
自らの醜さに絶望した、という背景がある。

比較とは、差を見つけること、意識することであるが
その差がゼロであることを意識するのも「比較」である。
自らの比較対象足りえる存在としてのフランケンシュタインは、
人造女性にとってのリアリスティック・ドールであったと捉える事が出来る。

運慶快慶らが仁王像を作り上げたとき、
像に「魂が込められるかどうか」を最も重要視したと言う。
大仏焼失を目の当たりにした際に、
恨むでもなく悲しむでもなく、ただ体を焼かれる大仏にショックを受けたのが起源と伝えられる。

この視点から考えるに、
一般に「今にも動き出しそうな」「躍動感あふれる」といった表現がなされる人形・像は
魂をシンボル化したものと言い換えることができよう。
が、私自身「魂」がなんであるかの解をここで述べるほど深い思考を成しえてはいないのが残念だ。

もともと「魂」と呼ばれるものが存在するわけではなく、
その「人間の心を揺さぶる」なにかが「魂」と呼ばれるに値するものなのだろう。

リアリスティックドールの作り手たちはその「なにか」を
必死になってシンボル化し、人形の中に込めようとしている。

単純に「物体」を見るのではなく、
人間の本質とも呼べる何かを具体的な形にされたものと向かい合うとき、
一種鏡を見るような錯覚に陥ると言えなくはないか。
そこに自らをみるか、作者をみるかはわからぬ。

が、そこに見える「浮き出るような存在感」が人々を今日まで魅了しているのだろう。
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無題
読んでてなぜか『からくりサーカス』を思い出した。
魂は本当にそこに存在しないのかなぁ?
shino 2011/01/26(Wed)  02:35 編集
無題
>しのし

からくりサーカスも人形に魂を復活させる話だったねぇ。
あれの場合は生命の水っていうキーアイテムが存在したけれど、
結局OSが入った状態の「動き」や「反応」が人間としてのシンボル足りえるのであれば、
シンボリックドールには魂が入ってないことになるね。
が、その躍動感なり臨場感、存在感を
他者がリアルに感じ取っているのであれば
ある意味そこに魂といわれる「なにか」が
存在しているといえるんじゃないかな?
Denden 2011/02/02(Wed)  00:08 編集
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