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紅の豚 サボイアS.21F 後期型 (1/72スケール塗装済半完成キット)


ジブリの名作と言われて、トップランキングに紅の豚を出す人はなかなかいない。
ただ、名言ランキングトップは紅の豚から
「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ」が入っているという奇妙な事実(笑)

宮崎駿氏はスチームパンク的な機械を作品に盛り込むのが好きだという。
ナウシカでは大量の戦闘艦、ガンシップ、メーヴェ。
ラピュタでのロボット兵やゴリアテ、タイガーモス号。
ハウルでのお城。
そして、紅の豚での戦闘艇達。

これらの作品の中で、機械・装置を愛でるキャラが主要人物となったのは「紅の豚」なのである。
そういった意味で、ターゲットがマニアック化する傾向があるのではと感じる。
今回はそのキャラクターである「フィオ」嬢に焦点を当てて、クラフトマンシップを解き明かす糸口としたい。

さて、フィオが機械を愛でる、もしくは愛でていると感じられるシーンや台詞を思い出してみよう。
「新しい翼断面を使いたいの。」
「この計算書すごいわ。この翼を作った人、本当によく木の性質を知ってる。」
「やらせてもらえるのね?ありがとう!一生懸命やるわ!」

ここからフィオのどのような女性像が浮かび上がるだろうか?
新しい翼断面を使うことでの挑戦意欲の持ち主。
計算書の完成度の高さから先人に対する尊敬の念を持てる。
任せてもらったことに対して、それを感謝できる。

というのは、台詞からわかる表面的な内容である。
さらに深掘りしてみよう。
飛行艇の翼は飛行性能を左右する重大要素の一つでもあり、
それと同時にパイロットが命を任せる部分でもある。
若さも相まってか、そこに自分の提案を持ちだし、さらに高速化を図ろうとする。
「前の図面もあるし」との台詞が直前にあるが、同じものから改良版を出している、
ということではないことに注意したい。
改善改良であれば、「この翼断面をこうこうこうしたいの」といった、基準を持たせた台詞となるはずである。
つまり、既にこの時点でフィオの設計士としての自信と挑戦意欲が伺えるのだ。
また、計算書から先人の凄さをほめたたえているが、よくよく聞いてみると
「前の設計士は木の性質をよく知っている」というのは、それ以上にフィオが知っていることを示唆している。
もちろん、計算書の中の情報から学ぶことが多いためにこのような発言となった可能性はある。
それだけであるならば、この計算内容が「過激なセッティング」であるかどうかはフィオに判断できまい。
木の耐久性やしなり具合、その他もろもろの特性を最大限活かした構造であると判断できたという、
フィオのその能力ゆえに可能であったと考えられるのだ。
そういった意味で、フィオの発言にはいたるところに「自信」が満ち溢れているわけだが、
一切の「上から目線」や「高慢」な部分が感じられないところは
やはり宮崎駿の表現力および表現の監督力なのであろう。
最後に「感謝の念」という平たい表現をした点であるが、これは
感謝を抱くことそのものはフィオを語る材料として不足である。
この「ありがとう!一生懸命やるわ!」という台詞が持つ意味は複数存在し、
その一つが「余計な謙遜をしない」という点なのだ。
相手の命を預かる飛行艇を設計するうえで、謙遜など要求されるはずもない。
が、17歳の女性としてその域に達するための「自信」「実質的能力」「挑戦意欲」を持ち合わせていること、
その総合的な設計士、クラフトマンとしての人物像そのものが素晴らしいのである。

フィオから垣間見えるクラフトマンシップはまだまだ言い足りないのであるが、
宮崎駿氏はその哲学の一つ一つを丁寧にイラストへと起こしている。

ただ眺めていてもこの作品の良さはなかなか見えてこない。
「観る」こと、そして反芻することで、この作品は大人が好むセピア色をにじませるのである。

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