■五感を駆使した「観察感」を養え!
全く同じモーターを目の前に用意したとしよう。
あなたにそれを区別することは出来ますか?
どうすれば区別することが出来ると思いますか?
はたして目隠し状態でも区別できますか?
モノつくりの基本の一つに「観察」というものがある。まずはなぜ観察が大切であるかということを納得してもらう必要があるだろう。
■「観察」という行為を5W1Hで考える。
What(何を)
Who(誰が)
When(いつ)
Where(どこで)
Why(なぜ)
How(どうやって)
1.What(何を)
ロボット製作とは総合力である。ゆえにロボットを構成するパーツのみに着眼していてはダメ。ロボットを重要視するのであれば同時にロボットが置かれる環境も重要視せねばならないのだ。つまりここでのWhatは「ロボット、ロボットを構成しているもの、ロボットを取り巻く環境」の3点となる。
2.Who(誰が)
もちろん「自分」が観察するのであるが、自分だけの視点に偏ってはいけない。先ほどロボットを取り巻く環境という話に触れたが、この環境の中に「ヒト」が含まれることを忘れてはいけないのだ。つまりここでのWhoは「ロボットを取り巻く環境にいるヒトの視点を持った自分」ということになる。これはニーズや使い勝手、安全面など複雑な要因を含むと同時にロボットのあり方を問う重要な点である。
3.When(いつ)
結論から言うと「常時」であるが、別に24時間ロボットやその環境のことを観察・考察せよ、という意味ではない。重要なのはロボットのことが頭に無いときに触れたもの、見たもの、経験などを後から思い起こして頭の中で「観察する癖」をつけることである。そうすれば無意識の内に「常時」自分の五感で感じたものをかなり鮮やかに思い出すことが出来るようになる。得た情報を左から右へ垂れ流すことがグッと減るはずだ。
4.Where(どこで)
人間は行きなれた場所に何度も通う習性があるが、それではなかなか経験値を上げることが出来ない。五感で得る情報が毎日似通ってくるからだ。普段パーツを買いに行く店は大抵決まってはいないか?数件ある場合は通う順序が似てきてはいないか?同じ時間に行ってはいないか?行動範囲を広げることに加え、バリエーションを豊富にしておくことが重要である。
5.Why(なぜ)
観察する上でもっとも重要な「観察意欲」こそ、この「Why」である。自分の五感に入ってくるものは慣れたものであれば「なぜ」と考えることなくスルーされてしまう。言ってみればWhyはモノに対する「質問力」と言えよう。しかし最初からこの質問力を身につけているエジソンのような人はなかなかいない。まずはWhyの対象を見つけることから始めればよい。一つ身の回りにあるものを手に取り、自分なりの「なぜ」を見つけて答えを導き出そう。それを継続することによりモノに対する「質問力」は少しずつ向上し始めるはずだ。
6.How(どうやって)
観察の手段であるが、人間は外部情報の大半を「目」から得ている。確かにその情報量は計り知れないが、決して過信してはならない。重要なのは五感を使うことである。目で見る重要性は言うまでも無いが、やはりどうしても「におい」や「音」に対する集中度はおろそかになりがちである。冒頭でモーターを目隠しで見分けられるか、との話をしたが、ここで役に立つのがにおいや音なのである。全く同製品のモーターでも回転のムラやブラシの具合によって音が変わる。加え回転中は摩擦で暖められた油のにおいも若干する。回転していなくとも金属のにおいがする。回転数が違えばモーターの温まり方も違うであろう。これは視覚からは絶対に得られない情報であるのに、観察感が無いために見落としてしまうヒトが少なくないのだ。使える感覚器は全て駆使せねばならない。
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北海道にロボットフィールドを作ろうと日々奮闘中。